おやじさん

今年1月9日と11日のブログで書きましたが、私は平成11年から13年に

かけて東京都杉並区で牛乳配達のアルバイトをしていました。

 

先日、杉並区の区民事務所へ行った帰り道に約2年間を過ごした牛乳屋を

9年ぶりに訪ねてみました。おやじさんと奥さんどうしているかなーと思いながら。

・・・・

バイト期間中に1度だけ、たった1度だけ朝寝坊をしてしまったことがあります。

今でもはっきり覚えていますが、電話のベルの音で目を覚ますと時刻は3時半でした。

いつも2時半に目覚ましが鳴るようにセットしていたのに、二度寝してしまったのです。

ハッとして一瞬事態が飲み込めませんでしたが、電話に出るとおやじさんが

「石井ですが。どうしたの?」と、怒っているわけでもなさそうな声。

「すいません、すぐ行きます」「配乳が遅くなるから早く来てください」

 

そんなこともあったなーと懐かしい街並みを見ながらお店のある場所まで来ましたが

お店がありません。店舗の前にはいつも回収した空ビンが山積みにされていたので

路地を1つ間違えちゃったかな?と思いましたが、店の隣にあったクリーニング屋は

そこにありました。あれ?キツネにつままれたような感じでした。道路を行ったり来たり

してみたり、区画をぐるっとまわってみたりしましたが分かりません。

クリーニング屋のご主人(当時とほとんど変わってなかった)がワイシャツのアイロンがけ

を終えるタイミングを見計らってお店の中に入り聞いてみました。

おやじさんは数年前に73歳で亡くなり、奥さんはそのまま店をたたみ、クリーニング屋の

ご主人が引越し先を聞いてもとうとう教えてくれずにどこかへ行ってしまったとのことでした。

 

建物は取り壊されて今は土地が売りに出されていると聞いた時に、流れた月日の長さを

実感しました。賞味期限が切れた牛乳をくれたり雑煮を食べさせてくれたおやじさんにも

奥さんにも、もう会えません。

 

「はい、しらはたです。」 「石井ですが。どうしたの?」

おやじさん 店の前には空ビンがケースごと山積みにされ、

                                                       裏には配達用バイクが何台もあったのに、更地になってました。

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